看板の始まり
看板らしきものが初めて世の中に現れたのは奈良時代に入った頃と言われております。藤原京から平城京(710年)に都が移される頃、商いをやっている店の標(しるし)としてつけられた牒(ちょう)が標牒と呼ばれ使われていました。この「牒」とは「文書を書きしるした薄い木の札」のことです。
大宝律令(701年)の修正版として、833年に出された令義解には 『凡市毎律立標題行名』 とあり、これは『市では商品の標(しるし)を立て題を示すこと』という意味で、看板を掲げることが義務づけられていました。ただ、この頃はまだ看板という言葉はありませんでした。
看板の変遷
平安時代になると暖簾が使われるようになり、鎌倉末期には簡板(かんばん)と呼ばれる、文字を記した竹や木の札が使われるようになります。この頃には絵だけでなく、文字も使われるようになりました。
そして室町時代から簡板(かんばん)として名前も定着し、桃山時代には暖簾に屋号や商品の名前が入れられるようになりました。商標としての性格が強くなり、現在の看板の原型がこの頃でき上がってきました。
看板という名前は、安土桃山時代末期~江戸時代頃に定着したと考えられています。、看(み)せるための板(いた)ということで看板になり、それ以前は”鑑板”の文字もあてられていたそうです。
明治以降の看板
明治以前は看板の素材が主に板か布に限定されていたのが、産業革命によって、さまざまな素材が使われるようになり、また印刷技術の発達により多種多様の看板ができるようになりました。
目的や場所によって使い分け、またロゴも文字表現が多くなったとは言え、画像・イラストなどと組み合わせてインパクトのある看板ができるようになりました。